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電技研ノート

力まず淡々と。
岩田亮先生の頭の中

2020/11/01

大石 陸斗

プロフィール

岩田亮(Ryo IWATA)先生

附属中高 電子技術研究部顧問

本校芝浦工業大学附属中学高等学校-技術・Arts&Tech.を担当する先生。校内の授業では、たいてい白衣を着ている。

「義務教育課程におけるレゴマインドストームを用いた科学教育カリキュラムの開発研究」や「ICT活用によるプレゼンテーション学習支援に関するアクティブラーニングモデルの提案」, 「PBLを応用した学習者の主体性を高めるプログラミング教育手法の研究」など2013年からの芝浦工大附属在籍中に計9つの科研費や東京都私学財団からの研究費が採択されている。2018年には、「はじめてのロボコンにチャレンジ(アフレル)」を執筆・監修した。さらに某国立大学工学部でも教職課程の学生に情報教育法を教えている。

飛行機とロケットが大好きで、ロボット技術室においてある、レゴでできたロケットを持って遊んでいたら、中央で真っ二つにしてしまうというエピソードも。

先生の頭の中

先生が好きな言葉は何ですか。

力まず淡々と―今やっていることが10年後につながる

これは、数年前の手帳の表紙にも書いてあって、結構昔から使っている言葉なんだけど、力んでいるようでは半人前、三流、四流で、「忙しい。忙しい。」とか「疲れた。疲れた。」とか言っているうちは、まだまだだと思うんだ。僕がよく同僚に「さらっとやっちゃえば」というんだけど、やはり余裕をもっていろいろできることが大切だよね。日々努力です。

僕は誰かのためにやっているという意識が強くて、電技研の子たちがやりたいことであればできるような環境を作りたいんだよね。
部員たちを少しでも手助けしてあげたいなあと思うのと同時に、君たちに様々なことを求める以上、顧問もすごい存在でありたいと思っているんだ。

「自己研鑽」っていうんだけど、顧問として君たち部員たちにも背中を見せてあげたいなあと思っているんだよね。

電技研部員の優れている点は?

全員ではないんだけどね。

主体性・行動力

自分のやりたいと思うことをやる。日ごろから僕が「やりたいことをやるために電技研に入れ」って言っているけど、全員、全部員が主体性や行動力を持って活動できるといいと思う。

指示待ち人間はいらないと思っていて、この電技研がやれる分野で、本当にやりたいことを追及してほしいよね。それを僕たち顧問が応援したいと思っているんだ。

それと、これだけインターネットが発達してきて間違えてしまうことがあるけど、インターネットを見てやった気にならないでほしいんだ。実際にやってみないとわからないことってあるよね? 頭の中のイメージではなく、実際にやってみて感じたことや難しいこととかを追及してほしい。

実際にやってみるということはすごい大事で、実際にやってみないとわからないことってすごく多くて。実際にやったことがない人は、やったことない人に勝ることはないと思ってるから、とにかく「実際にやってみる」「実際に行ってみる」ことにこだわってほしいと思ってる。
君たち先輩も、色々経験したうえで後輩の指導をしてほしい。

部員たちにもっとこうしてほしいというものは?

挑戦して、失敗してほしい

タフさ? やっぱりやりたいことにはチャレンジしていってほしいんだよね。できるまでやる力って社会人になってもとても大事。「できないからやめた」って言うのが一番簡単なんだよね。挑戦して初めてわかること、失敗して初めて味わう屈辱っていうのがあると思うけど、その経験を次に活かせる人ってどんな社会に出ても強いし、必要とされてくると思う。

今の時代、あんまり根性とか気合とか言わないかもしれないけど、なにくそ根性って言って、よし!やってやるぞ! っていう気持ちも大切だよね。

先生が尊敬する人は?

イチローさん

実際に会ったことはないから、何とも言えないんだけど…
イチロー選手。
自分を貫いていけるから。すごい尊敬している。

最初頭に浮かんだのは、「はやぶさ」初号機だったんだよね。あんなになったけど結局地球に戻ってきて。JAXAとかも頭に浮かんだんだけど、尊敬する人という点ではやはり野球のイチロー選手だね。

先生の理想の電技研像は?

株式会社―社会貢献を

理想は株式会社だよね。会社である以上社会の役に立つっていうこと。
君たちは消費者に向けて様々な貢献をするよね。ワークショップとか。それで得たお金を活動費として使っていくというサイクルが一番の理想だよ。

大学では学生がやっている企業って結構あるんだけど、中高でもあってもいいと思うんだよね。
でも会社に至るまではまだまだなんですよ。君たちは。
スケジュール管理も甘いし、作品の完成度を高めようという意識も低いし。でもやっぱり日本トップの中高生の部活を目指している電技研としてはこういったところを目標としたいということだよね。

電技研の意義は?

研究と貢献

とことん研究する。突き詰める。それをしっかり貢献に結び付けていくっていうのが電技研のベースになっているので。やっぱり部員は全員これができないとだよね。

研究と貢献に込められた意味とは?

一つのことを究めてほしい

浅く広くやるんだったら、自分のためにならない。好きなことを徹底的に追及するからこそ、自分や人のためになるんだよね。自分の中だけで完結しないでほしい。

先生が技術者として必要だと思う資質は?

これしかないでしょ。

慎重さ

どんどん前に進んでいくダンプみたいな性格もあると思うけど、僕は石橋をたたいて渡るくらいがいいと思う。とにかく、何事にも偶然っていうものはないと思っていて、顧問ブログのほうにも書いているけど、もっと不具合がないかな?不具合やバグが見つかればラッキーという風に感じてほしい。

だから絶対的に慎重さ、怖がりっていうのは、技術者・エンジニアとしては利点だよね。
ただ、仮説を立てる段階では大胆に、常識を度外視したりしながら考えてほしい。それには慎重さっていうものはいらないと思う。
開発とモノづくりは違うからね。

先生がこだわりを持って使っている仕事道具は?

万年筆・Mac Book Pro

物は長く使いたいと思っているから。僕が持っているこの万年筆はピストン式だから何度でもインクを交換できるんだ。

万年筆はその時々の用途によって使い分けてるんだよね。僕がPILOTを愛用するのはペン先がいいっていうのもあるんだけど、飛行機が好きだから、飛行機のパイロットって意味でもPILOTが好きなんだよね。

MacBookはやっぱりサクサク動くから。画面をきれいだしね。

先生はなぜ白衣を着ているんですか?

これは単純だよ。

ドラフターで設計をしていたから

風立ちぬっていう映画見たことあるかな? 紅の豚とかでも出てきたんだけど。ドラフターって言って、前職で設計工学に関する研究をしていたんだよね。そこで、設計図の清書するときには、インクが服とかにつかないように袖がつぼんだ白衣を着るんだ。
設計図の清書のような緊張感をもって、生徒と接したいし、生徒と接するときは自分の出せる最大限のものを出したいと思っているんだ。図面は本当に一本の線から始まるんだ。あの緊張感はCADにはないよね。

部員達にはどんな人になってもらいたいですか?

倖せになってもらいたい

幸せっていうのは、おうちがあって衣食住なんですよ。ご飯を食べられて、しっかりとして収入がある会社に入り、仕事について。あとは、結婚しようが、そのほかプライベートのことで充実しようが、まあそれはもう任せる。

とにかく、毎朝おきてやるぞっていう気が起こることだよね。それに伴った収入を得られるっていうのも大事。そのためにはしっかり自分の強みを持つことが大切。協調性も必要だし、コミュニケーションもとれる。

そういうことを今からしっかり中高生に教えたいと思って、技術者をやめて中学の教員になったので、そういうところを早くに気づかせてあげる。大学行ってから気づいたようじゃ遅い。今からそういうしっかりとした目標をもってやってもらいたいなあということだよね。

TO THE NEXT STAGE…

今回は電子技術研究部顧問の岩田先生をインタビューしました。
岩田先生が執筆している顧問ブログも絶賛更新中です! ぜひご確認ください。

次の記事もお楽しみに。

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